カケヒキの代わりに

メッセージをいただき、ありがとうございます。

”モノ”や”条件”で、大人が子どもと駆け引きをする様子は、珍しいことではなくなりました。


忙しい夕方の時間であれば、早くいうことを聞いて欲しいから。

行事の場面であれば、親が期待した姿を見たいから。

自分よりも優秀に育って欲しいから。


いずれにせよ、大人だけの都合ですね。

残念ながら、保育室でも

「そんなことをする子は、もう知りません」なんて声が聞こえてくることもありませんか?

これはいずれも、子どもの行動や要求に『条件つき』で、対応することです。

無償の愛、見返りを求めない、の真逆の行動とも言えます。

このままでは、
・何かメリットやご褒美がなければ、行動しない
・自分の都合だけを考えて行動する
・行動に見返りを求める

そんな子どもになってしまいます。


では、このような場面を見てしまったら、どのような対応をすれば良いのでしょう。

保護者への対応に加えて、保育者への対応もみていきましょう。

まずは保護者から見ていきましょう。

保護者の場合、行動を禁止したり、否定するだけではかえって関係性が悪くなるので、対応に注意が必要です。

また、なぜそのような関わりをするのかによって、伝えることが変わります。

1・保護者自身が、かけひきしか知らない場合(育った環境も含めて)

他の方法を知らないので
「こっちの方が楽しい」
「モノ以外の喜び」といった価値観を伝えることが、必要です。園内で実践していること。

例えば、時間内で行動することが必要な時は、ヨーイドン!とこえをかけてみる。片付けはゲーム性を持たせてみる。

「うるさくしたら連れて帰らないよ」→「よし、忍者で待ってみよう!」など、保育の中にある”テクニック”を伝えることで十分です。

2・育て方が難しいお子さんの場合

シールや丸をつけるなど、できるようになったことや努力したことなどを可視化し「できたことを確認する」ことを提案してみましょう。

このときも、保育園での実際のやりとりを見せていけると、より保護者が行動に移すことができます。

次に、保育士者の場合をみてみましょう。

保育士の場合も『なぜそのような行動をとるか』といった原因の理解は必要です。

しかし、資格を持って仕事をしているため『保育士としてはやってはいけないこと』として、認識してもらいましょう。

行動を禁止するだけでは、根本的な理解はできません。

保育士としてカケヒキが良くない理由と、適切な対応をしっかりと伝え、実際に行動が変わったかを確認しましょう。

このときに大事なのは、行動を取ろうとする姿勢を認めながら、変化を言葉にしていくことです。


保育士の都合で子どもを動かそうとするほど、かけひきや条件が多くなります。

子どもたちにとって、保育士は絶対権力者です。

保育の基本を見直しながら、子どもたちが夢中になれる遊びや、安心した生活を整えていくことのできる保育者を目指しましょう。


保護者にしても、保育者にしても、ついつい余裕がなかったり、方法を持ち合わせていないと、権力任せに子どもを動かそうとしてしまうものです。

これは、大人の世界でも一緒かもしれませんね。

自分の行動を省みながら、公平な態度で仕事ができる保育者を目指したいものです。

2020.07.07  がじゅまる情報局

ハマった子どもたちがたくさん!「ぬりえ」ってどうなの??

保育士さんから、ご質問をいただきました!

休園中やSTAY HOME の影響で、保育園の子どもたちの姿にも変化があるようですね。

Kさんの「子どもたちにいろいろなことを経験してもらって、世界を広げたい!」という声が聞こえ来るようなメッセージです。


ぬりえについて、ちょっと考えてみましょう。

創造性を失う
大人の作った絵を塗りつぶすだけ
自分の絵が書けなくなる
主体性が育たない

などと、デメリットを挙げられることが多いです。

調べてみると、ぬりえを保育園で取り入れることへの反対の意見もちらほら…


逆に…
ぬりえには

集中力や色彩感覚が育つ
運筆力が上がる
できた!と達成感を味わいやすい

などの効果もあると言われています。

そして研究論文も、様々な主張があります。


では、保育士のよりどころ。

保育所保育指針をみてみましょう。

感性と表現に関する領域「表現」
感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。

(ア)ねらい
1 いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ。
2 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
3 生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ。

保育所保育指針(3歳以上児の保育に関するねらい及び内容:(2)ねらい及び内容  オ 感性と表現に関する領域「表現」)

豊かな感性や表現する力を養い」
「いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ」
という文言を見ると、ぬりえがだめ。と、決めつけなくてもいいような気がします。


そして大人同様、子どもたちにもコロナ自粛の影響があるという視点に立って

『安心して保育園に来ることができること』

『自分で楽しみを見つけて熱中していること』

『お友達と関わるには少し時間が欲しいこと』

など、子どもの心情に注目することを忘れずに!


何より大事なのは
『子どもたちも、一緒に過ごしている保育士も、前向きに保育をたのしむこと!』

「いい、悪い」よりも、そこから世界を広げたり深めたりすることの方が、子どもも保育者も保育を楽しむことができることは、確かです。

そして、子どもがやりたくてやっているのか(子どもの意思)、時間潰しでやらされてやっているのか(大人の都合)では、大きな違いがあります。

ぬりえから始まって、

1・紙質、塗るもの(クレヨン、色鉛筆、クーピー、ペンなど)素材に広げる
2・大きな塗り絵をしてみよう
3・飾って展覧会をしてみる
4・絵の細かさを変えてみる

など、保育を広げてみるのも面白いですね。

保育士自身がぬりえをしてみることで、子どもたちがハマる理由がわかるかもしれません。

新装版 ぬり絵 花のさんぽ道―世界のうつくしい花と風景

参考資料:小田 久美子 1998 幼児の美術教育と塗り絵との接点

南九州大学 美術教育研究室 2016 子どもの絵のお話 ―自由画についてー

2020.06.11  がじゅまる情報局